「AIを使ってサイトや業務システムを作っています」と話すと、時々「今どきみんなやってますよね」という反応が返ってくる。
そう言われるたびに、少し不安になる。自分がやっていることは、本当に「みんなやっている」ことと同じなのか。
気になって、実際の数字を調べてみた。

起 ── 自分の立ち位置が分からなくなった
「AIを使っている人」がどれくらいいるのか、ちゃんと調べたことが無かった。
感覚では「まだ少数派だろう」と思っていたが、それは希望的観測かもしれない。数字を見てから考えることにした。
承 ── 調べたら、「使っている」側はもう多数派だった
まず、日本で生成AIを使ったことがある人。
個人における生成AIサービスの利用経験(日本)58.8%(20歳以上は52.2%)
総務省の令和8年版情報通信白書に、この数字が出ていた。前年の調査からほぼ倍増している。
次に、自分と同じ「コードで仕事をしている人」に絞る。
AIツールを使っている・使う予定の開発者 84%(前年76%)
Stack Overflowの開発者調査(2026年)の数字だ。ここまでは、想像していたより広い。
さらに絞って、単発で答えを聞くだけでなく、AIに作業そのものを任せる「AIエージェント」の使用に限ると、
AIエージェントを使っている開発者 59%(前年31%から倍増)
これも、もう半数を超えている。AIを使うこと自体、AIに作業を任せること自体は、もう「珍しい話」ではなかった。
転 ── それでも、その先の数字は見つからなかった
ここまでは数字がある。だが、次の段階の数字は、どこにも無かった。
「複数のAIに役割と権限を持たせ、誰が確認し、いつ人間が承認するかを決め、事業の構想から実装・検証・公開・運用までを一つの体制として設計している人」の割合。
これを調べた統計は、見つからなかった。
見つからなかった以上、「日本で上位0.1%」のような数字は言わない。言えるのは、境目の中身だ。
- AIに一つの作業を頼む(コードを書かせる、文章を作らせる)→ ここはもう大多数がやっている
- 複数のAIに役割を分け、作る側と確認する側を分け、承認前には本番に出さない仕組みを作る → ここの統計は見つからない
うちで実際に動いているものを挙げる。
- 業務記録キット:画面と声を記録するだけで、AIが業務の記録として整理する。作ったAIと、内容を確認するAIは別にしている
- AI修理士チャット:スーツケース修理の現場知識を渡し、サイトに常駐させて顧客対応を行わせている
- 自動投稿・コラム強化:Instagramやnoteへの毎朝の投稿、2023年に公開した古いコラムの自動更新。人を増やさずに発信量を増やした
修理店向けの業務OSのような、受付から教育・在庫・配送までを丸ごと支える構想は、まだ全部はできていない。構想・検証中のままここに書く。できていないことを、できているように書かない。
結 ── 考えたこと
「AIを使っているか」で測ると、もうほとんどの人が「使っている」側に入る。差が出るのは、使い方の中身の方だ。
一つの作業を頼むか、複数のAIに役割を分けて、承認と引き継ぎまで運用として設計するか。
私は、AIモデルを作るAIエンジニアでも、プロンプトの言葉選びだけをするプロンプトエンジニアでもないと思っている。
現場で起きている問題を見つけ、それを複数のAIに渡す仕事に分け、人間が最後に確認する場所を残しながら、実際に動く仕組みまで組み上げる。まだ「一般的」とは言い難い取り組み方だとは思うが、それが何パーセントかは、正直に分からないと書いておく。
うちではどうするか
これからも、「AIを使っているかどうか」ではなく、「何をどこまで任せ、誰が確認しているか」で自分たちの取り組みを説明していく。
数字で言えるところは数字で言い、言えないところは中身で言う。今回、それがはっきりした。
出典:総務省「令和8年版情報通信白書」/Stack Overflow「2026 Developer Survey」